教員・研究室紹介

Teachers

有村研究室【遺伝子工学・エコロジー・生理学】

教授

有村 源一郎

助教

上村 卓也

ダーウィンやファーブルの伝記を読み、あるいは山や海の雄大な自然に触れた瞬間に誰もが「生命の謎」にときめいた経験があるでしょう。近年の遺伝子工学や次世代シークエンサーなどの分析技法の発展は、今まで想像や仮説の域を超えなかった生物の進化や生体系メカニズムの解明に大きく役立っています。このような最先端科学に挑戦し、サイエンスの変革を皆さんと成し遂げたいと思います。

生物のコミュニケーションツールの発見と探索

生物は他の生物と相互作用(コミュニケーション)することで多様な進化を遂げてきました。本研究室では、植物や昆虫が他の生物を認識するメカニズムを明らかにするため、最先端の遺伝子工学とエコロジーを融合した研究に取り組んでいます。害虫が植物をかじると放出される植物の香りが、植物と昆虫、植物と植物のコミュニケーションを如何に取り持つか?そのメカニズムの解明と、それらの生態系システムのアグリバイオへの応用に挑戦しています。

近藤研究室【遺伝子工学・ゲノム生物学】

准教授

近藤 周

地球上に存在する多種多様な生物は、すべてゲノムDNAを設計図として形作られることが分かっています。我々人類を含む多くの生物のゲノム配列情報はすでに解読されていますが、その中に存在する1万個を超える遺伝子がどのように働き、生命を駆動しいるのかは十分に理解されていません。ゲノムの謎を解明すれば、将来は人工的に生物を作り出すこともできるはず、そんなことを考えながら研究をしています。

ゲノムを理解し、ゲノムを作る

私達の研究室では、遺伝子操作技術が最も発達したモデル生物であるショウジョウバエを用いて研究をしています。ゲノム編集技術を用いることで、遺伝子を破壊してその効果を見たり、遺伝子に標識を付けて組織や細胞内での発現パターンを明らかにすることができます。神経機能と染色体機能に関わる遺伝子に特に着目して研究を行っています。並行して、巨大なDNAを合成する新たな技術の開発を進めています。これにより、生命の創出を可能にする人工染色体の作成を目指します。

清水研究室【微生物遺伝学・遺伝子工学・応用真菌学】

教授

清水 公徳

助教

Nguyen Phuong Thao

私たちは常日頃から微生物に囲まれて生きていると言っても過言ではありません。その中でも良いもの、悪いものを見極め、上手な付き合い方を模索していくことが、健康で豊かな生活につながります。当研究室では、普段目立たないけど大変な能力を秘めた微生物のパワーを引き出すための基礎研究・応用研究を行っています。その辺のカビにも思わぬ宝物が落ちているかも知れません。一緒に探してみませんか。

微生物のポテンシャルを引き出そう

地球上には様々な微生物が生息し、いろいろな形で我々の生活に深く関わっています。本研究室では、これらの微生物機能を制御することが人間生活に役立つと考え、遺伝学や分子生物学手法を駆使して研究を進めています。また、未知微生物は数百万種とも言われ、我々が認識している生物種の数十倍以上と見積もられており、これらの発掘を通じて、微生物機能の開発を多面的に推進することを目指しています。

白石研究室【タンパク質工学・生物物理学・構造生物学】

教授

白石 充典

助教

小山 浩舗

現在、医療費が国家の財政に大きな負担となっており、将来に向けて国を挙げて解決していく努力が必要です。また一方で製薬企業が手を付けにくい希少疾患や治療・診断法が確立されていない疾患も多く残っています。このような中『抗体』と『膜タンパク質』が重要なキーワードとなっています。抗体医薬をより低コストで生産する技術、病気の診断法の開発、および膜タンパク質に対する薬を効率よく創り出す技術がこれらの問題を解決する鍵になると考えています。

タンパク質工学を駆使して健康的な社会に貢献する

遺伝子が生命情報の格納庫であるに対し、生命活動の担い手となる分子がタンパク質です。多くの疾患はタンパク質の異常によって引き起こされています。疾患に関わるタンパク質の機能を分子・原子レベルで詳細に明らかにすることは、より良い薬を開発するうえで欠かせません。特に薬のターゲットの半数は解析が困難と言われる細胞表面の膜タンパク質ですので、膜タンパク質の構造・機能解明に向けた基盤技術の構築も重要です。さらに近年は抗体に代表されるタンパク質分子そのものが医療に用いられ、疾患の治療や診断に大きな可能性を与えています。当研究室ではタンパク質工学の技術を駆使して、疾患に関するタンパク質の構築や機能を解明したり、医薬・診断薬として有用な分子の開発を行っています。

瀬木研究室【生体機能学・病態生理学・神経薬理学】

教授

瀬木 恵里
(西田)

助教

鈴木 敢三

大人になったら脳の神経はもう増えない、そんな風に思っていませんか?最近の研究では生涯新しい神経が生み出される、そんなポテンシャルが分かってきました。また、うつ病といった心の病気の治療にも、このような仕組みが関わっていることが分かってきました。私たちは主に、小動物をモデルとして用いて脳機能の調節メカニズムを探り、うつ治療の治療開発につなげていきたいと思っています。

脳研究から探るこころ―うつ治療の新たな治療法・創薬開発につなげる−

生体を一つの調節機構と捉え、分子から細胞・組織・生体までの相互作用解明を目指します。うつ病モデルやうつ治療モデルを用いて、特に海馬の機能探索に焦点を当てた新たな治療標的の同定を目指しています。これにより、これまでに知られていない脳機能の制御メカニズムの一端を明らかにするとともに、精神疾患の治療分子標的の同定も試みます。

高橋研究室【分子生物学・遺伝子工学・分子育種】

准教授

高橋 史憲

植物は、動物と違って脳や神経が無く、移動する手段も持ちません。では、どうやって劇的に変化する自然環境 (気温や風雨、乾燥など) の中を生き抜いているのでしょうか?実は、一見、“静”に見える植物は、その体内で驚くほど素早い“動”的な分子応答をして、環境変化に適応していることが分かってきました。ヒトとしての常識にとらわれずに植物と対話して、彼らの常識を一緒に理解しましょう。きっと私達の常識を覆す新たな発見があるはずです。

植物の環境ストレス応答の解明と、耐性作物の開発

ヒトを含むすべての生物は、植物なしでは生きていけません。私達は、植物が環境ストレスに応答する際に重要な遺伝子群を探索し、分子・細胞・個体レベルでの機能について研究しています。とくに、根と葉などの離れた器官間で環境ストレス情報を共有・統合するための長距離シグナル、器官間コミュニケーションの解明を進めています。さらに、これらの研究成果をもとに、劣悪環境でも生育でき、食糧問題や環境問題の改善に資するストレス耐性作物の開発も進めています。

田村研究室【進化生命化学・RNA科学】

教授

田村 浩二

助教

佐賀 裕亮

「我々はなぜ今ここにいるのか?」これを突き詰めると、地球上に最初にどのように生命が生まれ進化してきたのか、という問題に突き当たります。この問題はとても難しいものですが、私達は、原始地球に存在していたと考えられるアミノ酸やRNAという分子に注目し、その謎の解明に取り組んでいます。生命は宇宙の時間と空間に誕生した神秘です。自分が本当に興味を持って熱中できるものを探し当てましょう。役に立つテクノロジーも知的好奇心に根ざした研究の芽から生み出されています。そのような芽を育ててみませんか。

RNAと遺伝暗号に生命の起源の謎を探る

RNAとアミノ酸の対応関係は遺伝暗号として知られています。遺伝暗号はすべての生命体に共通に存在するアルゴリズムであり、生命体の構成原理に関わっています。私達は、遺伝暗号の起源と成立原理を解明することで、生命の起源の謎に迫っています。また、これらの研究をもとに、センサー機能を有するRNAの開発などのナノテクノロジーの創出も思考しています。更に、L-アミノ酸のみが使われている生物界の非対称性の謎の研究や、新規人工タンパク質の合成方法の開発の研究も行っています。

十島研究室【細胞内物質輸送・細胞増殖制御】

教授

十島 二朗

助教

島村 洋輝

生命は奇跡としか思えないような偶然の重なりにより、何億年もの歳月をかけて作られてきました。私達、人間がその生命の神秘について研究を初めてまだ数百年しか経っておらず、まだわかっていることなどほんの少しにすぎません。私達は最先端のバイオテクノロジーを使い、日々新しい発見を目指し、人がより健康で豊かに暮らせる社会を作りたいと考えています。生物学はまだまだ発展途上の学問であり、ちょっとした発見で世界を大きく変える可能性を秘めています。意欲ある皆さんと一緒に研究できることを楽しみにしています。

バイオイメージングによる医薬開発のための基礎的研究

「百聞は一見にしかず」と言われるように、細胞の中で起こっていることを実際に目で見て調べることは、生物学研究の基本的な手法であり、醍醐味です。私達の体が細胞とよばれる構成単位からできていることが発見されたのは、1665年のロバート・フックによる顕微鏡の観察によるものです。それから、350年以上を経た現在、ノーベル賞を受賞した下村脩博士によるGFPの発見などにより、光学顕微鏡は蛍光顕微鏡と進化し、生きた細胞の中をリアルタイムに観察することが可能になりました。私達の研究室では、創薬の標的分子を細胞の中で様々で色で光らせ、その動態を調べることにより、がんやウイルス感染といった病気の効果的な治療法を見つける研究をしています。特に、オートファジーと類似した機構であるエンドサイトーシスについて詳しく調べています。

西野研究室【染色体工学・タンパク質工学・構造生物学】

教授

西野 達哉

助教

伊藤 翔

構造生物学は生命現象を原子レベルで解明する手法です。原子レベルで物事が明らかになると世界は一変します。私達の研究室は構造生物学を中心に、生化学、分子生物学、分子遺伝学を組み合わせて遺伝情報がどのように伝達されているかを研究しています。このような研究成果の多くは皆さんが読む教科書に掲載されます。一緒に研究して教科書のあたらしい1ページをみんなで作っていきましょう。

遺伝情報の維持と継承に関与する因子の構造生物学

私たちは、細胞の生命リレーがどのように行われているかを研究しています。このリレーには様々な走者(蛋白質)が登場します。リレーのバトンは遺伝情報(DNA、染色体)です。遺伝情報が次世代へと正確に継承されないと細胞死や病気、癌になります。私たちはこの仕組を解き明かすために、遺伝学や細胞生物学により関与する因子を同定し、X線や電子線、磁気共鳴により立体構造を決定し、生化学や細胞生物学により機能を検証します。

西山研究室【免疫学・応用生命工学・食品機能学】

教授

西山 千春

助教

長田 和樹

免疫、アレルギーをキーワードに、遺伝子、分子、細胞、動物といろいろな実験系を使って研究を進めています。新しい現象を見つけ、あるいは自分の仮説を証明し、世界に向けて発信しながら、次世代に活躍する研究者の育成を目指しています。2013年に着任しました。共同研究してきた医学部の研究室や東京大学の研究室とも引き続き一緒に研究しながら、さらに理科大内外の交流を通じて研究の輪を広げていきたいと考えています。

免疫反応を、遺伝子、細胞、生体レベルで解析

免疫は、本来私たちの体を病原体の感染から守るために備わっている機能で、様々な担当細胞がサイトカインや細胞表面分子を介して相互に制御し合っています。免疫応答は感染のみならず癌や移植にも関わり、その破綻はアレルギーや自己免疫疾患を引き起こします。私たちは、免疫担当細胞における遺伝子発現の仕組みを分子レベルで解き明かしながら、生体内での細胞機能調節の可能性を探っています。特に、アレルギー疾患や自己免疫疾患、炎症性疾患やがん疾患を対象に、食品成分や腸内細菌代謝産物による生体免疫応答の制御と疾患の予防・緩和、新たな治療薬の探索と開発、造血系細胞に特徴的な転写調節因子の働き、造血系幹細胞からの細胞分化誘導などの研究テーマに取り組んでいます。

宮川研究室【発生生物学・内分泌学・環境生物学】

教授

宮川 信一

現在、次世代シークエンサーや遺伝子編集などによる解析を組み合わせることにより、革新的な研究への発展が各分野で期待されています。このような最新の技術を駆使しながら、ホルモンや環境因子が関わる様々な生殖や発生現象を、組織・個体レベルで理解することを目指しています。私たちの周りにいる動物が行っている、まだよく分かっていない不思議な生殖様式や性決定・性分化のメカニズムを、細胞や分子のレベルで調べてみたい方はぜひご連絡ください。

脊椎動物の生殖や性決定・性分化に関する研究

脊椎動物の生殖(生殖器官の発生と組織・器官形成を含む)や性決定・性分化に関して、環境から受ける影響を加味し、発生生物学・内分泌学・環境生物学の見地から研究を行っています。実験材料はマウスのほか、動物の性決定や生殖戦略の多様性を鑑み、魚類や爬虫類など野生生物も対象としています。マウスでは、生殖器官における性ホルモンの作用メカニズムや、疾患(癌化や形態形成異常)の原因解明に関わる研究を行っています。また、生体を取り巻く内分泌かく乱化学物質の影響について、多種多様な生物種間での反応性の違いや、核内受容体の機能解析から、分子から生体レベルまでの総合的な研究視野から研究を行っています。さらにワニやカメを中心とする爬虫類の温度に依存する性決定メカニズムの解明を目指しています。

吉田研究室【有機合成化学・ケミカルバイオロジー】

准教授

吉田 優

有機化学はクリエイティブな研究分野です。その可能性をまだまだ大きく拡げられるはず。新しい次の一歩で、周辺の研究分野にも革新をもたらす強い力があるはず。そんな想いを抱きながら、ライフサイエンス研究を加速する手法や分子の開発を念頭に、有機合成化学やケミカルバイオロジーに関して幅広く研究しています。

多彩な元素の特性を引き出す有機反応化学

ライフサイエンスにおける個別の課題解決だけでなく、有機化学や多様な関連分野に革新をもたらす新技術の創出を目指して研究しています。特に、有機金属化学やヘテロ元素化学での最先端の知見をもとにして「新しい反応」を開発することで、有機化学を深め、発展させながら、ライフサイエンス研究を加速させる手法を開発します。